広島県内農業ニュース
【広島市】郷土の味を守り続ける
2024.06.18
県内農業
山県郡安芸太田町津浪の田谷久さん(85)と千代子さん(82)は、約20年にわたり安芸太田町の特産「太田かぶ菜」を栽培している。かつては旧加計町全域で栽培され、最盛期には約10㌧の生産量があった「太田かぶ菜」。現在は3軒の生産者で栽培し約400㌔の生産量に留まるが、後世に郷土の味を引き継いでいくため、田谷さん夫婦は自家採取で種を守り続けている。
「太田かぶ菜」は、寒さや積雪により葉が軟らかくなり甘みが増すのが特徴。冬期に気温が低くなり過ぎず、かつ積雪量の多い太田川上流域が栽培に適している。雪が解けた3月中旬頃から収穫をはじめ塩漬けし、古漬として食されている。
近年、気候変動により積雪量が少なくなっていると感じる久さんは「気候の変化によって、雪に弱くなっているのでは」と栽培の難しさを感じながらも、「太田かぶ菜」の系統を守るため種どり用の株を厳選し、他のアブラナ科の作物と交配しないよう細心の注意を払いながら慎重に種どりを行っている。
久さんと千代子さんは「『太田かぶ菜』は古くから旧加計町内で栽培されてきた伝統あるもので、根強いファンもいる。続けられる限り続け、次の世代につないでいきたい」と力強く話す。