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【JA庄原】水稲の樹脂被覆肥料 脱プラ狙い代替探る

2022.05.17
県内農業

庄原市東城町(しょうばらし とうじょうちょう)の栗田川流域農地・水・環境を守る会は、水稲の「元肥一発肥料」で、自然界にマイクロプラスチックを輩出する恐れが指摘される樹脂被覆肥料に代わり、原料のプラスチックを削減する代替肥料の実証実験を始めた。

水田10か所の2.9ヘクタールで「ひとめぼれ」「コシヒカリ」「あきさかり」で検証。収量や品質を調べ、環境に配慮した代替肥料への転換を見据える。

省力的で施肥量を減らせるため広く普及する「元肥一発肥料」は、水稲の生育に応じて肥料成分が溶けだす時期を調節するため、プラスチックの被膜で覆われている。

ただ使用後に残るプラスチック被膜殻の海洋流出が問題視され、対策が必要とされる。大きさが5ミリ以下のマイクロプラスチックは回収が困難で、生物が誤って食べてしまうなど生態系への影響が懸念されている。

試験にはJA全農ひろしま、JA庄原、行政などが協力。13日には16人が参加し、展示圃場の施肥設計や農薬などを確認した。

代替肥料として①被覆樹脂を一切使用しない「化学合成緩効性肥料」②樹脂を減らし、被服の崩壊を早めた肥料-などを使う。

同会代表の藤本聡さん(43)は「持続性の高い農業の実現には環境負担の軽減が重要だ。安全・安心で環境に配慮した米作りに向け、データを集めていきたい」と話している。

今後は関係機関が連携し、定期的な生育、収量、品質などを調べて資材の有効性を検証する。