広島県内農業ニュース

【JA広島中央】高床式の栽培で作業手順化 農福連携の活動広がる 東広島市西条町

2021.09.29
県内農業

 東広島市西条町のNPO法人きずなの就労支援事業所は、農作業を通して障がいのある人の就労を支援する。昨年4月に開所して農業を本格化させた。今年7月にはビニールハウス2棟を新設し、高床式の栽培システムで葉物野菜を中心に周年で安定した生産を目指す。

 同法人は、生活介護事業や放課後のデイサービスなどで障害のある人を支援する。学校卒業後の就労に不安を抱く保護者や親族も多く、受け皿の一つとして事業所を設立。農地を借り、1.2㌶で農業を始めた。

 利用者17人と職員7人が夏野菜やハクサイ、ニンニク、ダイコン、ネギなどを生産。農業経験のある職員が指導し、高品質な野菜を作る。収穫した野菜はJA広島中央の産直市3店舗に出荷する。利用者は、出荷にも携わり、商品の陳列も担う。

 自ら育てた野菜が消費者に選ばれる経験は、意欲向上や自信にもつながっている。地元の支援も手厚く、自動車総連(JAW)から倉庫の寄付を受け、西条ロータリークラブからはビニールハウス1棟の寄付を受けた。

 栽培システムは、高床式砂栽培で高さ78㌢、通路は幅70㌢で、車いすでの作業もできるようにした。水と液肥を混ぜ合わせたものをタンクに入れ、ボールタップの浮き沈みで必要量を施す養液装置を使用。作業をマニュアル化し、利用者だけで作業が完結できるようすることが狙いだ。

 8月からチンゲンサイや小松菜、ラディッシュ、ホウレンソウなどを栽培。気温や湿度などの状況を見ながらJA営農指導員と相談し、条件に合った品種を探る。同事業所の水本裕和所長は「農業を通して将来の道筋をたててもらうことが目標。工賃を上げられるよう、農業の収益を向上させたい」と想いを込める。