広島県内農業ニュース
2019年度水稲密苗供給開始 「コシヒカリ」「あきさかり」で
2019.02.20
県内農業
JA庄原は、2019年度から育苗施設で、水稲の高密度播種(はしゅ)苗(密苗)の供給を始める。品種は、管内で主力の「コシヒカリ」と「あきさかり」。JAの藤原信孝組合長は「地域において、稲作のコストと労力の削減は重要な課題。解決策の一つとして密苗を供給し、農家所得の増大と水稲の作付面積の維持・拡大につなげたい」と展望を語る。
JAは、17年から農家訪問活動に取り組み、資材価格や高齢化に伴う労働力確保の相談が多く寄せられたことから、18年に県北部農業技術指導所やJA全農ひろしまなどと供給に向け試験に取り組んだ。
試験は「あきさかり」で実施。1枚の育苗箱に種もみを通常の約1.7倍となる300㌘を播種。約2週間管理し、発芽や緑化など大きな問題もなく生育し、葉色や根張りも良好だった。移植後は2~3週間おきに草丈と茎数、葉色などを5回調査。収穫期に、坪刈調査をおこない、玄米重量が慣行栽培よりも良く、品質も問題がなかったため本格供給を決めた。
密苗の購入を予定する、庄原市新庄町の殿迫和明さん(68)は「高齢化や人口減少が進む地域にとって、省力化は切実な問題。JAが密苗に取り組むことで、作業負担が減り水田の維持につながる」と評価する。
価格は1箱当たり1080円を予定。作業効率などを考慮し、100箱以上の注文とする。試算では、通常苗で10㌃当たり18枚必要だった苗箱を8枚に減らせ、苗代が約26㌫削減でき、移植時間も約2割短縮できる。移植には、密苗に対応する田植え機が必要なため、営農センターと農機センターで相談を受ける。(庄原)