広島県内農業ニュース
三原市大和町の中山間組合/地域全域の法面をセンチピードグラスで被覆
2018.06.19
県内農業
広島県三原市大和町福田地区の中山間地域振興組合は、集落の全法面をセンチピードグラスで被覆する活動を、6月の吹き付け作業で完成させた。畦畔の外にも水路や道路などにも被覆。2011年から始め、吹き付けた面積は8年間で23万平方㍍になる。環境の保全とともに、草刈り作業の軽減などで持続可能な農業の実現に集落で取り組む。
センチピードグラスは、高齢化で課題となっていた法面管理の対策として導入し、吹き付け機を購入。除草剤散布や吹き付けなどを共同作業で計画的に進める。グラウンドカバープランツ(地被植物)で雑草の繁殖を抑えることで、傾斜の大きい法面の作業の安全性と労力の軽減を図った。道路に面したのり面は行政の許可を得て被覆。県道・市道・農道やため池など集落全てを網羅したことで、農業生産の改善だけでなく、住民が暮らしやすい環境が整った。
同組合は2000年、中山間地域等直接支払制度の活用を目的に発足。非農家を含む全戸で構成し、現在は62戸で、水稲面積は65㌶。交付金は個人分配せず、機械導入や資材代、作業労賃などの共同活動費として使う。当初は、マニアスプレッダーを導入して水田にたい肥を散布し、土壌を改良した。2007年からは鳥獣害対策に着手。集落の山際約12㌔をワイヤーメッシュで囲った。2017年からは、農地を電気柵で囲う作業を進めている。畦畔がセンチピードで被覆されているため、雑草が電線に触れて漏電する心配もないという。
組合長の吉森峻二さん(83)は「住民の理解を得たことで集落がまとまり、活動が維持されている。今後も集落の実情に沿って展開していくことで、集落の環境を守っていきたい」と話す。(広島中央)