広島県内農業ニュース

バイオエタノール製造技術への貢献に励む 農業高校の特色生かしたSSHの取り組み

2015.11.04
県内農業

 広島中央・スーパーサイエンスハイスクール文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校である県立西条農業高校3年の農業機械科の6人は、環境に負荷をかけず、効率良く稲わらからバイオエタノールを生成する研究に励んでいる。化石燃料に代わる新たなエネルギー源として期待されるバイオエタノール生成に、非食用バイオマスで容易に入手できる稲わらに着目した。

 バイオエタノールの生成には、稲わらの中のセルロースを分解・糖化することが必要。メカノケミカル班では、いろいろな粉砕機を用いて稲わらをミクロ単位まで細かくし、セルロースを分解しやすくする技術の確立を目指す。ミキサーやミル、石臼などで粉砕をした結果、石臼が最も効率が良いことが確認できた。大塚賢治くん(17)は「複数の作業を平行して行うのが難しいが、実験に使う機械を自分たちで改良したり、楽しみながら取り組んでいる」と笑顔で話した。

 カーボン固体酸研究班では、環境負荷が少なくリサイクルが可能なカーボン固体酸触媒を用い、セルロースを加水分解させ糖化実験する。これまで加水分化装置のフィルターが稲わらで詰まるなどの問題が起きたが、糖化効率の向上が確認できた。

 SSHでは、研究レベルの高度化を図るため、大学や研究機関、産業界などと連携した研究をしている。農業機械科の有谷喜久雄教諭は「生徒らは、企業を訪れたり大学で研究発表するなどして大きな刺激を得ている。バイオエタノール製造技術への貢献を目指し、根気良く研究を続けてほしい」と述べた。

(広島中央)