広島県内農業ニュース
【南部】人物紹介 羅書坤さん 広島市場初の海外出身セリ人を目指して
2024.09.10
県内農業
広島市中央卸売市場初の海外出身セリ人を目指すのは広印広島青果の羅書坤(らしょくん)さん(34)。今春に入社し、3カ月の研修を経て果実部に配属となった。
羅さんは中国河南省出身。トウモロコシ、小麦を中心とした農業を営む両親の影響を受け、幼少期から農と食の重要性を感じて育ち、いずれは食に関わる仕事に就きたいと夢を持っていた。進学したチベット大学での学習を経て、特に日本の農業、農村、農産物への関心を高め、広島修道大学の大学院商学研究科に留学した。矢野泉教授(現学長)の元で農産物流通について研究し、日本のJA、卸売市場の役割や重要性を学んだ。その際、研修で訪れた広島市中央卸売市場で、全国から集まる青果物の多さと、大量の果実・野菜が近隣の都市に流通する様子に高揚感を覚え、同市場の荷受会社である広印広島青果への就職を志した。
現在は先輩セリ人のサポートを中心に、早朝からセリの準備や商品の運搬、入荷予定表の作成を通して研修を行っている。実際に果実の販売に携わるようになり、日本産果実の品質の高さ、品目・品種の多さに驚き、用途や需要が異なる顧客に対応できるよう等階級ごとに選別して出荷される産地の出荷体制にも感銘を受けた、と言う。
セリに立ち会うJA広島果実連の下岡正常務は「早朝から元気に働く羅さんは既に市場の一員として欠かせない存在になっている。中国語、英語、日本語が堪能なので、今後の東南アジア向け輸出事業に際し、荷受担当者の立場から通訳や翻訳のサポートをお願いしたい」と期待する。
羅さんは「『羅』という字には良い物を掴み取る網と言う意味がある。先輩や仲卸の方々からしっかり知識を学び取り、生産者から信頼されるセリ人を目指したい」と話す。今後3年間の現場研修を経てセリ人試験に挑戦する。