広島県内農業ニュース

【広島市】伝統野菜を次世代へ 広島市立安西小学校「笹木三月子大根」収穫と料理教室

2025.03.04
県内農業

 “幻”と呼ばれた伝統野菜「笹木三月子大根」。栽培の難しさから一時は市場から姿を消していたが、2001年に復活させたのが広島市安佐南区高取の朝市グループ「近菜高長朝市出荷組合」だ。同組合は、この伝統野菜を守り次世代へつないでいくため、小学生へ向けた栽培指導や朝市での「笹木三月子大根まつり」を長年行っている。地元の公民館なども「笹木三月子大根」を使った料理教室を開くなど、同組合のたゆまぬ努力が「笹木三月子大根」の認知度アップに向けた取り組みとして地域に広がりをみせている。
 なかでも10年以上続けているのが広島市立安西小学校での栽培指導。栽培は昨年9月の播種から始まり、児童らは毎日水やりを行い大切に育ててきた。12、13日に同小学校で行われた収穫祭には、生産者のほか、広島市安公民館から依頼を受けた安田女子大学家政学部管理栄養学科の学生も訪れ、児童らと収穫に臨んだ。収穫後には大学生が考案したレシピで水分が少なく甘みが強い「笹木三月子大根」の特徴を活かした「大根のハッシュド焼き」「大学大根の甘じょうゆ」の2品を調理した。
 同大学の学生が収穫祭に参加するのは初めてで、同公民館が、2024年2月に同大学の学生とともに「笹木三月子大根」の料理教室を開いた際、これまで生産者と小学生で行っていた収穫祭に学生にも加わってもらいたいと大学に持ちかけたことがきっかけ。大学も管理栄養士を目指す学生にコミュニケーション能力を磨いてもらうため、いろいろな機会を与えたいと快諾した。「笹木三月子大根」が地域間をつなぐ大きな役目を果たした。
 同大学の渡邉雪華さん(20)は「『笹木三月子大根』の甘さなどの特徴を活かし、子どもが好きそうなメニューを考えた。子どもたちが楽しんでくれて良かった」と話した。収穫と調理に挑戦した森本千咲月さん(10)は「初めて食べた。普通のダイコンよりも甘くておいしかった」と笑顔で話した。
 地域の宝として「笹木三月子大根」を守り続けている同組合の坂本尚子組合長(90)は「地元の伝統野菜『笹木三月子大根』を子どもたちに伝えていくことが使命だと思っている。小学校で伝承の機会があり、子どもたちが楽しんでくれることはうれしいし、栽培するはりあいになる」と話した。