広島県内農業ニュース
【ひろしま・佐伯中央】イチゴの空き設備有効活用 チンゲンサイ学校給食に
広島県廿日市市浅原でイチゴを栽培する大之木ファームは7月4、10、11、18日の4日間、イチゴのシーズンオフの空きハウスを利用しておもに学校給食用に育てたチンゲンサイ264㌔㌘を、JAひろしまを通じて同市の学校給食センターや地元の小中学校に出荷した。農閑期の収益確保や設備の有効活用につなげようと昨年から取り組みをすすめ、今年で2回目。
6月上旬、育苗ポットで育てた苗をハウス内の長さ35㍍の高設ベンチ20列に植え付けた。株間を昨年の30㌢から15㌢に狭めて、1列あたりの株数を増やすことで、昨年の154㌔㌘から5倍量以上となる約900㌔㌘の収穫に成功。学校給食用のほか、JA産直ふれあい市場「よりん菜」などに出荷した。今回は「涼双子(すずふたご)」など合わせて3品種を植え付け、品種ごとに生育の様子を見ながら最も栽培に向くものを調べるなど、次年度に向けての調査も行った。
同ファームの正木啓介さん(27)が、6月から8月ごろにかけてイチゴ用のハウスに空き期間ができることから、空き設備を活用した野菜の栽培に着目。播種から40~50日の短期間で収穫できるチンゲンサイを選んだ。イチゴを収穫した後の土壌に残る肥料だけで育てることができ、水やりは点滴チューブを使って自動で管理するため負担も抑えられる。
正木さんは「イチゴ収穫後の空き設備や土壌で育てた野菜を子どもたちに食べてもらい、農業の可能性やおもしろさを感じてもらえると嬉しい。今後も様々な取り組みに挑戦したい」と意気込んだ。
同ファームが学校給食用に出荷したチンゲンサイは、同市の小中学校19校で4日間にわたり14050食分の給食に使われ、「豆腐とチンゲンサイのスープ」などに調理された。給食の時間には、栽培の様子や正木さんから児童に向けたメッセージなどをまとめた動画を放送。子どもたちの食や農への理解を深める機会にもつながった。